千の旋律、千の悲哀、千の記憶Dear Loneliness Leave Me Alone

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「Nomadism」という生き方、あるいは「Nomadology」という分野について。 00:04


2月11日 (mon) at unagidani sunsui
「いいにおいのするパーティー3」
open16:00 start17:00
前売り2800(プラス1DRINK500yen)当日3300(プラス1DRINK500yen)


出演:
Tujiko Noriko
大友良英(ターンテーブルセット)
セーラー服おじさん
Vampillia
Bleubird
Nomad
Zucchini Drive



家を出る前は、まさかこんな感動的な夜になるとは一切予想もしていなかったわけで。一年半前のZucchiniや昨年のsosoの大阪公演を顧みても、完全に「大阪=アウェー」の文字しか浮かばない。むしろメインはライブよりも、初めて訪れる阪急メンズ館にあるかなとそっちに重点を置いてしまったくらいだ。 そんなこんなで、メンズ館での試着しまくり話しまくりで体力の大半を使い果たした僕は、sinからもらった「出番は19時半からだから」というメールの通り19時過ぎに会場のSunsuiへ向かう。会場を見渡すと、デジャビュというか、昔どこかで見かけたような顔の人が多い。大阪アンダーグラウンドの集いのごとき様相だ。そんな和やかな雰囲気だったから、いつも僕が感じていた「アウェー感」はどこか懐かしい気分にかき消されつつあった。


まずは、Zucchiniのトムと再会の握手。相変わらず奴は喋り倒すな。そしたらsinがNomadを紹介してくれた。ベルギー人の平均身長は欧州諸国の中でも低い176cmなのだけれど、見上げてしまうトムに負けずおとらず背が高いNomad。めちゃくちゃ猫背なくせして僕より高かったので、背筋伸ばせば184くらいはあるんじゃなかろうか。異国の人間なのに目を見て離せないNomad。もにゃもにゃと喋ってるNomad。まるで少年みたいだ。それより草食動物みたいだ。さもありなん、sinによると彼もまたsosoことトロイと同じくベジタリアンであるそうで。しかもアルコールも飲まない(遺伝子的に飲めないはずがないから、"飲まない"が正しいのだろう)。もちろんタバコなんて一切吸わない(どっかのボスと違って落ち葉広いも一切しないときた)。まさにヒップホップ界のストレートエッジだな。イアン・マッケイの魂がこんなところに引き継がれているとは。そこまで徹底にストイックな人間だからこそあのような音楽が生まれるのだろうと納得。でも、ドラえもんが大好きなんだって。


さて、ヒップホップチームのライブはBleubirdから幕開け。ラップトップから音を流しながらパフォーマンスをするスタイルは、どうしても曲終りが緩慢になりがちだ。ちょっと待ってね、みたいにしてせっかく張りつめた会場の空気が緩んじゃう。でも、Bleubirdはパフォーマンス慣れしている。連中のなかで唯一フリースタイルが得意というのもあるのだろうけれど、とにかく言葉の放射を途切れさすことなく、研ぎ澄ませていく。オーディエンスの煽り具合も、また、掛け合いも見事に決める。身体全体がパフォーマンス器官として成立していて、跳躍しながらのライミングはさながらRage Against The Machineのザックを彷彿とさせた(と思うのは俺だけではないだろう)。ステージから客席に飛び降りたり、曲終りにバク宙したりと、盛り上げ方は絶品でありました。だが、ライブ後に彼と挨拶するとめちゃくちゃ腰の低いジェントルマンで、知性の高さを感じさせる理知的な佇まい。そして普段の声はおじいちゃんみたいな優しさ。ステージではあれだけ「マザーファッカー!」と連呼していた人が。


続いてステージにあがったのはNomad。いったいどれくらいの人がこの時を待ちわびただろう。大半の人の頭の中にはタマス・ウェルズと同じく「あの声は生歌でもあのままなんだろうか?」という疑問が浮かんでいただろう。椅子に座ってアコースティック・ギターを手に歌い始める。個人的に"Shadowanimals"で始まると思っていたのだけれど、残念ながらこの日それは演奏されることはなかった。オープニングは意表をついてアルバム「Lemon Tea」最後の曲"Hahaha"から。タマスのときと全く同じ感動が起こる。歌声だけで景色を変えることができる人がここにも。歌声だけで人の心を鷲掴みにできる人がここにも。Nomadの楽曲は大半が2分くらいで終わってしまうので、次々に披露されていく。気の利いたMCは、極度のシャイネスゆえに喋ることができない。その短い時間が逆に寂しさを募らせる。


トムがトラックを流してマイクを握り、Cavemen Speakの「Save The Day」をやった時はぐっときたなあ。あの素晴らしいアルバムからもう四年の歳月が。個人的には、アコースティックギターの弾き語りスタイルをベースに、Nomadが一つ上のステージに上がったことを確信させた"Weekend"(昨年末のhueコンピ収録)の哀愁が素晴らしすぎた。あの声とメロディが空間を支配していく。この頃にはもうすっかり会場はNomadラブで満ちていたのだ。僕の隣にいた女の子もNomadの声にうっとりと耳を傾けていた。だからこそ、ラスト手前で披露された"Bordercross"、このアンセムのごとき名曲で大合唱が起こったことは特筆に値する。この瞬間の多幸感たるや言葉にはできない。ベルギーの片田舎に暮らすひょろっとしてナードな青年が作った歌が、とおく海を越えて言語も異なる日本の地で浸透して、ともにコーラスを歌いあげる。「Take look at me.I'm singing with a dry mouth. And the rain falling down」と。この歌詞じゃないけれど、幸せの雨が降り注いでいたことは報告させていただきます。



Zucchini Driveのライブはたったの一言で片づけることができる。それは「バカ」ということ。あの会場で目撃した人でこの感想を抱かない人はいないだろう。もちろん、全ては良い意味で。アルバムツアーのはずなのにセットリストは一年半前と大差ないという。そのくせ、トムはステージからいきなり「Nomad! Nomad!」と呼びかけ上にあがらせて、彼をフィーチャーしている「Handclap Handclap」をやり始める。相も変わらずヒューイ・ルイスの「パワー・オブ・ラブ」のアホカバーで盛り上げる。柄にもなく騒いでいたので内容を殆ど記憶していない。あんな風に無邪気にフロアを跳ねまわったのは一体いつの、誰のライブ以来だろうか。いつの頃からか、会場の後方で訳知り顔して音楽を身体ではなく頭で楽しもうとする習慣が身についていてしまっていたけれど、結局のところライブなんてアルバムを再現する必要性なんて全くないんだということに思い至った次第である。アーティストが心から楽しんで、お客さんとして来てくれたみんなが笑顔になって、それだけでいいじゃないか。案外、「特別な夜」というのは、そんな単純な構成要素でしかないのだろうね。この日来てくれた皆さん、本当にありがとうございました。皆さんのおかげでこんなにも素晴らしい夜になったことは明白です。


sinいわくZucchiniやBleubirdたちはライブ終了後に掃けたステージ袖で抱擁し合っていたそうだ。今日のパフォーマンスの内容の良さに打ち震えて。ゆえにこの後の連中は上機嫌で終始はしゃいでおりました。Nomadは女の子たちからかわいーかわいーと連呼されサイン攻めにあい、照れに照れていたが実際すこぶる可愛いのだから仕方ない。しかし、改めて思うにNomadのステージはさながらマンガかアニメを見ているような感覚だった。音楽以上に、彼自身のキャラクターが非常に戯画的であるというのもあるんだけれど、まるでエドワード・ゴーリーの絵本を読んでいるような、グロテスクとファニーがない交ぜになった感覚と言えばわかっていただけるだろうか。その不思議さは未だに説明不可能。観た人にしか通じない話である。


Bleubird
http://www.myspace.com/bleubird

Nomad
http://www.myspace.com/homesicknomad

Zucchini Drive
http://www.myspace.com/zucchinidrive








イベント最後に行われたセッション、Vampiliaの女の子とツジコノリコをツインボーカルに、ギターを大友良英氏が、キーボードとパフォーマンスをセーラー服おじさんが、フリースタイルをBleubirdで披露されたカーペンターズの「遥かなる影」は、この組み合わせが現実になったことがあまりにも恐ろしく、そして音楽の底の知れない懐の深さを垣間見せる。関西アンダーグラウンドということで敬愛する松本亀吉先輩のレトリックを援用すれば、EXILEを観に来た客の前でStruggle For Prideが演奏するようなものである。のだが、その演奏している最中にEXILEが乱入してきて歌うは踊るはを繰り広げるようなものである。端的に表せば「カオス」であり、これぞまさに正しくアンダーグラウンドな瞬間であった。観客席からこの様子を見守っていたトムは、この日のことを振り返ってマイスペースのブログにこのように記している。「a crazy alternative gig」と。実際問題、Bleubirdは最後のほうにはフリースタイルをやりながらセーラー服おじさんの手を取って踊っていたのである。セーラー服を着た頭の禿げたおじさんを、少女のようにくるくると回していたのだ。そのフリースタイルも「Close To You!Close To Me!」と連呼していただけなのだけれど、「それってつまり曲名叫んでるだけやん」と笑いながら突っ込んだ一本道ノボルであった。 客席では、相当に多くの人が携帯の動画機能やカメラでもってこの模様を撮影していた。きっと様々に音楽の現場を目撃してきた目の肥えたお客さんたちも、本能が「コレは歴史的な瞬間である」と察知したのだろう。


音楽はマジックを呼ぶ。佐藤伸治がそう書いた言葉は確かに夢物語なんかではなく、現実のものであった。


貴重なライブ写真は、撮影していただいたカメラマンの井上嘉和さんにお借りいたしました。
| Live Report | comments(0) | - | posted by 一本道ノボル
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